9月の活動状況
令和元年(2019)

















月うさぎの話
 何気なく見上げた夜空。輝く月......ただ、それを眺めているだけで心が和んできます。でも、そんな時
 ふっと思い浮かぶのが「月うさぎ」。月でお餅をついているという、あの月うさぎです。でも、「月うさぎ
 」ってどれ?なぜ月にうさぎがいるのでしょう?
ちょっと悲しい月うさぎ伝説
 月の模様の黒い部分は「海」と呼ばれる低地。その黒い部分で「餅をついているうさぎ」の姿を見立
 てます。こうして見ると...確かに月うさぎはお餅をついています。
 意外と知らない月うさぎ伝説。月うさぎ伝説にも諸説ありますが、一般的に言われているのは次の
 ようなお話です。
 『昔、あるところにうさぎときつねとさるがおりました。ある日、疲れ果てて食べ物を乞う老人に出会
 い、3匹は老人のために食べ物を集めます。さるは木の実を、きつねは魚をとってきましたが、うさぎ
 は一生懸命頑張っても、何も持ってくることができませんでした。そこで悩んだうさぎは、「私を食べ
 てください」といって火の中にとびこみ、自分の身を老人に捧げたのです。実は、その老人とは、3
 匹の行いを試そうとした帝釈天(タイシャクテン)という神様。帝釈天は、そんなうさぎを哀れみ、月
 の中に甦らせて、皆の手本にしたのです。』
 これは、仏教説話からきているお話です。また、このお話には続きがあり、『うさぎを憐れんだ老人
 が、その焼けた皮を剥いで月に映し、皮を剥がれたうさぎは生き返る』という説もあります。だから、
 月の白い部分ではなく、黒い部分がうさぎなのですね。
 では、なぜ餅をついているのでしょうか?「うさぎが老人のために餅つきをしている」とか「うさぎが
 食べ物に困らないように」という説がありますが、中秋の名月が豊穣祝いであることを考えると、た
 くさんのお米がとれたことに感謝する意が込められているようです。
 地球から月までの距離は約384,400km。肉眼で月の表面が見えるわけですから、すごいことですよ
 ね。ススキや月見団子を供えてお月見をしたり、仕事帰りに立ち止まって月を眺めたり...。月うさぎ
 に思いをはせながら、月をゆっくりと愛でてみてはいかがでしょうか。
世界の月の模様
 月の模様がうさぎに見えるのは万国共通ではありません。月は地球に対していつも同じ面を向けて
 回っているので、世界中どこで見ても、ほぼ同じ表面を見ています。しかし、月の模様をどう捉える
 かは国によって様々です......
 韓国や中国では、日本同様うさぎに見えるそうですが、中国のうさぎはお餅をついているのではなく
 、薬草を挽いています。また、中国の中でも、うさぎではなく大きなはさみをもった「カニ」という地域
 もあります。
 モンゴルでは「犬」で、嘘をつくと吠えるとか。アラビアでは「ライオンが吠えている」といわれていま
 す。
 インドネシアでは「編物をしている女の人」、ベトナムは「木の下で休む男の人」、
 欧米では「女性の横顔」だといわれていますし、オーストリアでは「男性が灯りを点けたり消したりし
 ている」のだそうです。
 他にも、「インディアン」「本を読む老人」「怪物」「ワニ」「ロバ」など本当に様々。おもしろいですよ!

風の名前
風の名前が表わすもの
 台風と野分。同じ現象なのに印象が違います。表情豊かな風に、様々な言葉があてはめられてい
 ます。
☆荒れ狂う怒りの主
 「嵐」「暴風」は、まさに怒りの主。荒れ狂う風を「狂風」「烈風」などといい、突然に吹く「天狗風(てん
 ぐかぜ)」や烈しい「疾風(はやて)」は、「悪風(あくふう)」となって災害をもたらすこともあります。
 タイフーンに漢字を当てはめた「台風」は、その痛々しい爪跡を想像させますが、昔ながらの「野分」
 には、自然と共存するかのような印象があります。
☆優しく爽やかな表情
 荒々しさが消え和やかに吹くと「和風(わふう)」になり、そよそよと吹く「微風(そよかぜ)」や清らか
 な「清風(せいふう)」は風が微笑んでいるようです。さっとひと吹きする「一陣の風」や、強くても気持
 ちのいい「雄風(ゆうふう)」には凛とした姿が見えるでしょう。
☆風の色は何色?
 草木が動いて風を感じられることを「風の色」といい、吹いている様子はないけれど、秋の気配を感
 じるようなときを「色なき風」と表します。「南風(はえ)」は夏の季節風ですが、梅雨時のどんより曇っ
 た日に吹くと「黒南風(くろはえ)」で、梅雨が明ければ「白南風(しろはえ)」です。青葉の上を吹き渡
 る「緑風」も、強く吹けば「青嵐(せいらん)」となります。
進むべき道に吹く風
 船の進むべき方向に吹く「順風」「追い風」「時津風(ときつかぜ)」、その反対は「逆風」「向い風」「
 仇の風(あだのかぜ)」。風は人生にも吹いているようです。
【春の風】
 ・春一番 ・・・ 春の初め、その年に初めて吹く強い南風
 ・東風(こち) ・・・ 菅原道真の歌により春を告げる風として有名※
 ・貝寄せ ・・・ 春先に砂浜に貝を運ぶ風
 ※菅原道真が京都から大宰府へ左遷されるとき、庭の梅に「東風吹かば にほいおこせよ 梅の花
 主なしとて 春な忘れそ」と詠んで別れを惜しみました。
【夏の風】
 ・薫風(くんぷう) ・・・ 初夏の新緑が香るような風。
 ・青田風(あおたかぜ) ・・・ 青々とした水田の上を吹きわたる風。
 ・盆東風(ぼんごち) ・・・ 夏の終わりに吹く東風。暴風雨の前兆。
【秋の風】
 ・野分(のわき) ・・・ 野の草を分けて吹きすさぶ強風。台風を含む。
 ・いなさ ・・・ 南寄りの暴風。大雨を伴い、風水害や海難を起こす恐ろしい風。
 ・金風(きんぷう) ・・・ 秋風のこと。稲穂をゆらす風。
 ・雁渡し(かりわたし) ・・・ 雁が渡ってくる頃の北風。
【冬の風】
 ・木枯らし ・・・ 初冬に吹く冷たい北風。木の葉を吹き落してしまうことに由来。
 ・おろし ・・・ 冬山を超えて吹き降りる冷たい強風。六甲おろしなどの山の名前が付く。
 ・空風(からっかぜ) ・・・ 冬山を超えて吹きつける下降気流で、冷たく乾いた風。関東・東海地方
 の冬の季節風。