8月の活動状況
平成30年(2018)

















立秋
 暑い日が続いていても、空を見上げると、秋の兆しが見え始めます。空が少しずつ高く感じられるようになり、もくも
くとした夏雲の上に、刷毛で掃いたような秋の雲が見えることがあります。
 夏の太平洋高気圧が弱まると、低気圧が日本に近づき通過していくようになり、このときに見られるのが、流れる
ような秋の雲。いわし雲、さば雲、うろこ雲などの名前がついており、いわし雲が早く出た年は、イワシが豊漁になる
ともいわれています。

迎え盆と精霊送り

 盆棚は精霊棚(しょうりょうだな)ともいわれ、ご先祖様の精霊を迎えるために位牌を安置しお供えをする棚です。8
月12日の夕刻または13日の朝に作ります。飾り方は地域や家庭の習慣によって異なりますが、一例としてご紹介し
ます。

・机などを置いて真菰(まこも)で編んだゴザを敷き、四方に笹竹を立て、縄を張って結界を作ります。
・縄にはほおずきを吊るし、先祖の道を照らす提灯代わりにします。
・位牌を並べ、線香を焚き、ろうそくを灯し、キキョウ、ユリなどの盆花を飾ります。
・水や、季節の野菜、果物、砂糖菓子、そうめんなどを供えます。
・精霊馬(しょうりょううま。きゅうりで作った馬、なすで作った牛)※を供えます。
※ご先祖様はきゅうりの馬に乗り、なすの牛に荷物を載せて、あの世とこの世を行き来するといわれています。また
、来るときは馬で早く、帰るときは牛のようにゆっくりとという意味もあります。

迎え火
 13日はお墓参りし、お寺で迎え火の火種をいただいてきます。そして、家の門口や玄関に焙烙(ほうろく)の器を置
き、オガラと呼ばれる皮をはいだ麻の茎を折ってつみ重ね、火をつけて燃やし合掌します。これを迎え火といい、オ
ガラを燃やしたその煙に乗って先祖の霊が家に戻って来るのを迎えます。外から内に入るように火をまたぐと、先祖
の霊を迎えたことになります。
また、このオガラの灰をタンスに入れておくと、着るものに困らないともいわれています。オガラは花屋やスーパーな
どで手に入ります。

送り火
 16日に送り火を焚いて、家に迎えた先祖の霊にお帰りいただきます。迎え火を焚いた同じ場所で、オガラをつみ重
ねて火を付け、内から外に出るように火をまたぎます。
また、昔は川や海のかなたにあの世があると考えられていたので、地域によっては海や川に送り火を流して精霊送
りを行います。
わらで作った舟にお供え物や飾り物を乗せた精霊舟や、たくさんの灯篭を流して精霊を送るとともに、病気や災いも
一緒に流すという意味があります。

今でも全国各地で、精霊送りの行事が行われています。

盆踊り
 夏祭りの代表格ですが、太鼓や笛にのって、やぐらを囲んで輪になって踊ったり、踊りながら町中を流したり、そも
そもどうしてお盆には盆踊りをするのでしょうか。
実は、盆踊りは単なるサマー・イベントではありません。その由来や楽しみ方を知っておくと、盆踊りの醍醐味が味わ
えます。
 本来、盆踊りはお盆に帰ってきた先祖の霊を慰める霊鎮め(たましずめ)の行事です。原型は、死者を供養する念
仏踊り(自分で念仏を唱えながら踊る)にあります。次第に念仏を唱える人と踊る人に役割が分化し、発展した踊り
念仏が盂蘭盆(お盆のこと)と結びつき、精霊を慰めたり送り出すための行事になりました。今はお盆以外の時期に
盆踊りを行うことがありますが、本来は旧暦7月15日の晩に盆踊りを行い、16日に精霊送りをするのもそのためです。
 盆踊りには娯楽的な要素もあります。みんなで集まって踊ることで、地域の結びつきを深めたり、また、帰省した
人々の再会の場や、男女の出会いの場でもありました。盆踊りの歌詞に色恋ものやきわどい内容が多いのはその
ためです。
 本来、盆踊りの晩(旧暦7月15日)は満月ですから、照明のない時代でも明るく過ごせ、月の引力の影響で気分も
高揚、子どもたちは無邪気にはしゃぎ、大人達は様々な思いを胸に踊りました。
楽しいだけではなく盆踊りになぜか切なさを感じるのは、祖霊になった人々との別れを惜しむ踊りであり、人の出会
いや別れとともに過ぎ行く夏を惜しむ踊りだからです。
 そのためでしょうか、楽しいだけではなくなぜか切なさを感じます。