■元旦
元日は、1年の最初の日で、1月1日のこと。元旦は元日の朝、元日のこと。元旦の「旦」はの
字は、太陽が地平線から出るさまを表した漢字で、朝や夜明けを表すため、元旦は1月1日の
朝のみを表すともいわれるが、1月1日(元日)も意味する。しかし、元旦が元日の朝を意味する
ことには変わりないため、1月1日の朝をいう場合は、「元旦の朝」とはいわず「元日の朝」という
のが正しい。
年賀状は、1月1日の朝に届くよう出すのが礼儀であるため、日付は「元日」ではなく、ふつうは
「元旦」と書く。「〇〇年元旦」と年号をつけることは良いが、「1月元旦」と月をつけてしまうと、1
月が重複するため間違いである。
正月は1月のことで、元日や元旦と異なり、1年の最初の月を表す。ただし、元日から1月末ま
での1ヵ月間を指して使われることは少なく、一般には正月を祝う期間を指す。その期間は、大き
く分けると三が日と松の内に分けられる。
三が日は元日から3日間のこと。国民の祝日は元日のみだが、官公庁や金融機関などは三が
日を休日とし、一般企業もこれに準じていることが多い。また、新年を迎えて世の中がお祭りム
ードになっている期間でもあるため、「正月休み」や「正月気分が抜けない」など、元日に近い意
味での「正月」は、三が日のことをいう。
松の内は、正月の松飾りのある内の意味で、風習・行事としていう場合の「正月」は、松の内を
指していることが多い。昔は元日から15日までを「松の内」といったが、現在は7日までをいうの
が一般的である。ただし、地域の風習によって違いがあり、関西地歩では15日(小正月)までが
多く一部地域では20日(二十日正月)までというところもある。
帰省は、お盆や年末年始などの休暇を利用し、一時的に故郷へ帰る意味で使われることが多
い。帰省の「省」の字には、「親の安否をよく確かめてみる」という意味があり、帰省の本来の意
味は、故郷に帰って両親の安否を問うことである。そのため、故郷へ帰って住むのではなく、多く
は短期間の場合に「帰省」が用いられる。
帰郷は、故郷へ帰ること全般を表す言葉で、一時的に故郷へ帰る意味でも使われた。現在で
は、帰省と同じ意味で使われることは少なく、故郷に帰って安住するする場合には「帰郷」が多く
用いられる。
里帰りは、婚礼後の3日後か5日後に、初めて新婦が実家に帰ることを意味したが、現在では
結婚している女性が実家に帰ることをいう。基本的に、男性が実家に帰ることを「里帰り」とはい
わないが、外国へ移住した人が故国に帰る際には、性別や婚姻の有無に関係なく「里帰り」が
使われる。また、人に限らず、一時的に海外へ持ち出されていた美術品などが戻って来る際も「
里帰り」は用いられる。昔は奉公人が実家に帰る場合にも「里帰り」といったが、今は奉公人自
体がいないため、この意味が使われことはない。
旧正月では元日と元旦の使われ方は違うか調べてみました。中国や台湾、韓国、ベトナム、
モンゴルといったアジアの近隣諸国では「旧正月」は非常に重要な祝祭日であり、新暦における
正月よりはるかに盛大にお祝いされる一大行事です。
旧暦における元日は、月齢による変動をうけ毎年変動するため、1月21日頃から2月20日頃
の間のいずれかの日になり、そこから正月が数日続く。
■薮入り
「薮入り」とは、住み込みの奉公人や嫁いできた嫁が実家へ帰る事ができる休日のことで、お
正月の1月16日とお盆の7月16日が藪入りの日にあたりました。江戸時代に広がった風習で、
昔は奉公人に定休日などなく、嫁も実家に帰ることはままならなかったため、藪入りだけが、大
手を振って家に帰ったり、遊びに出かけたりできる日だったのです。
◎「薮入り」の由来:藪入り前日の1月15日、7月15日は、それぞれ小正月、お盆という重要な
祭日です。そこで、奉公先や嫁入り先の用事を済ませ、その翌日の16日は、実家の行事にも
参加できるよう休みが与えられたようです。現在のように定休日がなかった時代に、正月と盆の
薮入りは、奉公人たちにとって大変貴重で待ち遠しい日でした。薮入りの日、主人は奉公人に
着物や小遣いを与え、親元に送り出します。親元では親が首を長くして子どもの帰りを待ってい
て、親子水入らずのひとときを過ごしたのでしょう。また、親元に帰れない者も芝居見物などに出
かけ、年2回だけのお休みを楽しんでいました。嬉しいことが重なった時「盆と正月が一緒に来
たよう」といいますが、昔の奉公人には、この2つの薮入りは本当に楽しみだったに違いありま
せん。戦後、労働スタイルが変化し、日曜日などの定休日ができると藪入りはすたれましたが、
藪入りの伝統は正月休み・盆休みの帰省として残っています。
◎地獄の鬼もお休み:お盆の時期は、霊が里帰りして地獄にいないので、地獄番の鬼もお休み
です。その頃に畑に耳をつけると、ゴーッという地熱の沸くような音がするそうで、地獄の蓋が開
いて霊が飛び出してくるので、仕事をしてはいけない日とされました。仏教では藪入りの日を「閻
魔の賽日」といい、「地獄の蓋が開き亡者も責め苦を逃れる日」であり、「罪人を責めていた地獄
の鬼さえもこの日は休むから、人も仕事を休む」と考えられました。
◎「薮入り」の語源は?:藪の深い田舎に帰るからという説、奉公人を実家に帰す「宿入り」がな
まったという説などがありますが、定かではありません。また、正月の「藪入り」に対し、お盆のほ
うを「後(のち)の藪入り」ともいいます。関西では6がつくので「六入り」、九州では「親見参」(オヤ
ゲンゾ)などと呼ぶところもあります。 |