12月の活動状況
令和元年(2019)

















師走

 僧がお経をあげるために東西を馳せることから、「師が馳せる月」→「しはせつき」→「しわす」と
なったといわれています。「師」は「僧」を指すのが一般的。「馳せる」は「走る。急いで行く」という
意味です。

秩父夜祭
 12月2日・3日・埼玉県秩父市。秩父神社の例大祭で、京都の祇園祭、飛騨の高山祭と共に
日本三大曳山祭の1つに数えられています。江戸時代の寛文年間(1661~72)には祭りがあ
ったといわれ300年あまりの歴史があります。
 豪華な彫刻が施され、動く陽明門とも形容される笠鉾2基と屋台4基の山車(国重要有形民俗
文化財)を街中を曳き廻します。クライマックスは夜の御神幸祭。花火も打ち上げられます。「秩
父祭りの屋台行事と神楽」は国指定重要無形民俗文化財に指定されています。

大 雪(たいせつ)
 12月7日頃、小雪から数えて15日目ごろ。山岳だけでなく、平野にも降雪のある時節というこ
とから大雪といわれたものでしょう。本格的に雪が降り始めるころです。このころになると九州地
方でも初氷が張り、全国的に冬一色になります。スキー場がオープンしたり、熊が冬眠に入るの
もこのころ。鰤(ぶり)など冬の魚の漁も盛んになります。
 ※「おおゆき」ではなく「たいせつ」と読みます。お間違いなく。
 ※風花(かざはな)・晴天の青空の中をハラハラと舞うように降る雪のこと。本格的な冬の前触
れとされています。

冬至(とうじ)
 12月22日頃(2019年は12月22日)。大雪から数えて15日目頃。太陽が軌道上の最も南に
来るときで、夏至と反対に、夜が最も長く、昼が短い日。夏至から徐々に日照時間が減っていき、
南中の高さも1年で最も低くなることから、太陽の力が一番衰える日と考えられてきました。冬至
は「日短きこと至る(きわまる)」という意味。中国では、この日から新年の始まる日とされ先祖を
祀る習俗がありました。

一陽来復(いちようらいふく)
 冬至のことを一陽来復とも言います。「一陽来復」は中国の「易経」に出てくる言葉。中国の昔
の暦では10月はすべて陰の気で覆われ、11月になると陽の気が復活し、冬至を境に長くなって
いくとされています。つまり、衰えていた太陽の力が再び勢いを増してくるというわけ。そのため、
新しい年が来るという意味の他に、悪いことが続いた後に幸運に向かうという意味も込められて
いるのです。良くないことが続いている人も、冬至が来たら「さあ、これからは良いことがどんどん
やって来る」と気持ちを切り替えましょう。そういうきっかけを与えてくれる日でもあるんですよ。早
稲田の穴八幡などの神社では「一陽来復」のお守りが配られます。

柚子(ゆず)
冬至といえば柚子(ゆず)湯。この日に柚子湯に入ると風邪を引かないと言われていますね。「融
通がきくように」との説がありますが、単なる語呂合わせ? 柚子には体を温める効果があります
。柑橘系の香りでゆったり、リラックスしたいですね。

羽根つきと羽子板
 昔ながらのお正月遊びには、福を招くものがたくさんあります。羽根つきもその一つ。厄を払い、
女の子の健やかな成長を願う遊びです。

羽根つきの起源
 室町時代の宮中の様子を記録した「看聞日記(かんもんにっき)」に羽根つきの記録があります。
奈良時代より女子が神事として行っていた、棒で球を打つ「毬杖(ぎっちょう)」という遊びを起源
とする説や、室町時代に中国から羽根に硬貨をつけたものを蹴る遊びが伝わって、羽根をつくよ
うになったのが起源ともいわれています。羽子板を「胡鬼板(こきいた)」、ムクロジの実に鳥の羽
を付けた羽子を「胡鬼子(こきのこ)」と呼び、御所では公卿対女房の「胡鬼子勝負」も行われたそ
うです。


羽根つきで厄払い
 羽根つきには、一人で続けて突く「つき羽根」と、相手と突き合う「追羽根」という遊び方がありま
す。どちらも落とさず長く突けたほうが勝ちで、羽根を落とすと墨を塗られたりします。お正月の女
の子の遊びとして定着していますが、羽根つきには、単なる遊び、玩具としてだけでなく厄払いの
意味があります。羽根のムクロジの実は「無患子」と書くことから子どもが患わない、羽根が病気
を運ぶ蚊の天敵のトンボに似ているので、1年の厄を払いのけるとされます。打ち損じると顔に墨
を塗るというのも、魔よけのおまじないです。

江戸時代には、女の子の健やかな成長を祈って、初正月に羽子板を贈るようになりました。
現代でも、その年に男の子が生まれた家には破魔弓、女の子が生まれた家には羽子板を贈ると
いう習慣があります。

遊ぶ羽子板と飾る押し絵羽子板
 実際に遊びに使うのは、羽子板に縁起の良い絵や、歌舞伎役者などの人気者の絵を描いただ
けのものでしたが、江戸後期になると、魔よけを目的とした装飾用の「押し絵羽子板」が登場し、
役者絵の羽子板が人気を集めました。役者絵の描かれた羽子板は、いまでいうと人気スターの
ポスターやグッズのようなものだったかもしれません。近年は、その年に話題になった人物を取り
上げた「変わり羽子板」などもありますが、初正月を迎える女の子に贈られる縁起物の羽子板は、
伝統的な絵柄が好まれ、藤娘や道明寺などの歌舞伎にちなんだ、かわいらしく華やかなものが
多いようです。


浅草寺の羽子板市
 12月も半ばを過ぎると各地で「歳の市」が行われ、正月飾りなどの正月用品、羽子板、破魔弓
などの縁起物が売られます。有名な浅草寺の歳の市は、江戸時代から羽子板や破魔弓を売る店
が多く出ていましたが、近年は「羽子板市」として知られるようになりました。毎年12月17日・18
日・19日に行われますが、18日は観音の縁日で、納めの観音詣の日でもあり、大勢の人が参
詣に訪れます。境内にはたくさんの羽子板の出店が立ち並び、女の子の遊び道具や、縁起の良
い装飾品としてばかりではなく、初正月の祝いの品、通過儀礼の贈答として羽子板を買い求める
人で賑わいます。