12月の活動状況
平成30年(2018)

















事始と事納め
 12月8日と2月8日を「事八日(ことようか)」といい、様々な行事が行われてきました。「事八日」というのは、
この日が事を始めたり納めたるする大事な日だからです。事八日には、針供養をしたり、お事汁を食べたり
する風習があります。
 「事」とは、もともと祭りあるいは祭り事を表す言葉で、コトノカミという神を祭るお祭りです。そのお祭りが1
2月8日と2月8日の2回あり、「事八日」「事の日」などといわれました。コトノカミが「年神様」か「田の神様」
かで、事始めと事納めの時期が逆転します。
 この日付の違いは、この時に始める「事」が新年に迎える神様の「事」なのか、田畑を耕し農耕に勤しむ人
の「事」かという違いです。
 年を司る神様を年神様といいます。年神様を迎えるために正月行事の準備を始めるのが12月8日の「事
始め」で、年越しの「神事」が始まる日です。そして、後片付けもすべて納めるのが2月8日の「事納め」です。
こうして神様に関する一連の「事」が終わると、春を迎え田畑を耕す時期となり、人々の日常が始まります。
江戸時代に入ると、12月13日が大吉日とされた鬼宿日にあたることから、この日が江戸城の「御煤納め」
と定められました。このため12月13日が「正月事始め」として定着し、煤払い、松迎えなどの正月の準備に
とりかかる日とされています。
 年神様を迎えるための正月行事が終わって、人の日常生活が始まるのが2月8日です。2月8日を旧暦で
いえば、 3月中旬の気候にあたります。春が来て暖かくなり、農作業が始まり、人の一年の営みが始まると
いうのがこの2月8日の「事始め」です。こうして、年神様を迎える正月行事という「神事」の期間と、それ以外
の人の「日常」の期間とに分けるとすれば、一方の始まりの日はまた一方の終わりの日になるわけです。
針供養
 事八日に1年間お世話になった道具を片付け、供養する風習があります。道具の供養として代表的な行事
が「針供養」です。「針供養」は12月8日に行う地域と2月8日に行う地域があり様々ですが、 東日本では2月
8日に西日本では12月8日に行われる事が多いようです。
 針は着物の時代の大切な道具。江戸時代に針の労をねぎらい裁縫上達を祈る祭りとして広まりました。針
仕事は女性にとってとても大切な仕事でしたので、お世話になった折れた針や古くなった針を、感謝の気持ち
を込めて柔らかい豆腐やこんにゃくに刺し、川に流したり、神社に納めたりして、裁縫の上達を願いました。
 また、色白の美人になる、まめに働けるようになど、由来には諸説あるようです。
 東日本では、「事八日」に妖怪や厄神が家を訪れるので身をつつしむ日とされ、この日は一日、針に触れな
いようにしました。江戸の町では、妖怪や厄神を追い払うまじないとして、目籠をくくりつけた竹竿が町中に立
ち並んだそうです。また、「お事汁」というみそ味の汁ものを魔よけのために食べる習慣もありました。現在で
も、事八日には目籠やニンニクなどを庭先に置くという風習が残っている地域もあります。

お事汁
 旧暦12月8日、2月8日の「事八日」(ことようか)に、無病息災を祈って食べる野菜たっぷりのみそ汁が「お
事汁」です。おこと汁は別名「六質汁」(むしつじる)とも呼ばれ、元々は芋、大根、にんじん、ごぼう、小豆、こ
んにゃくの6種類の具を入れて作ったみそ汁です。ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、寒い季節に体の
芯から温まる伝統の健康長寿食といえますね。地方によって、入れる具材はいろいろあるようですが、一例
をご紹介します。

煤払い・大掃除
 現代の大掃除のもととなるのが、12月13日の「正月事始め」で行われていた「煤払い」です。
お正月は年神様を家に招き入れる行事ですが、昔はご先祖様も帰ってくるとされていました。そこで、神棚や
仏壇の掃除をして正月の準備をする習わしがあり、やがて家中を掃除して年神様をお迎えするようになりまし
た。正月に年神様を迎えるために、1年の汚れを払い、清めることが「煤払い」です。江戸時代、12月13日
に江戸城では「煤払い」を行っていました。1年間の汚れを払い隅から隅まできれいにすると、年神様がたく
さんのご利益を持って降りてくるといわれ、江戸城では城内や神棚を煤払いし、江戸庶民も煤払いに精を出
しました。これが今日まで伝えられ、煤汚れとは無縁の生活になった現在でも、社寺などでは煤払い行事が
残っています。一般の家庭でも、幸多き新年にするために、13日には大掃除をして正月準備を始めたいと
ころですが、家中の掃除を終わらせるのは無理というもの。この日は神棚や仏壇などをきれいにし、大掃除
の計画を立ててみてはいかがでしょう。本格的な大掃除は、もう少し日にちが経ってから、天気の良い日を
選んで行います。
 大掃除は準備と天気が大切です。晴れて、少し風のある日が最適。洗い物などで水を大量に使うのでお風
呂の残り湯などをとっておくと節水になりますし、水温もぬるめで手がかじかむこともなく、作業もはかどります。
雑巾やモップなどの掃除用品はもちろん、掃除用洗剤もあると思ったら途中でなくなった!なんてことがないよ
うに準備しておきましょう。
掃除する順番は、天井→壁→床というように、上から下へ、また、押入れ→戸棚→テレビの下など、奥まった
ところから手前に掃除していくのが基本。こうすれば、はじめに掃除したところを汚してしまうこともありません。
スッキリきれいな家で、新しい年を清々しく迎えましょう。

門松
 大掃除は準備と天気が大切です。晴れて、少し風のある日が最適。洗い物などで水を大量に使うのでお風
呂の残り湯などをとっておくと節水になりますし、水温もぬるめで手がかじかむこともなく、作業もはかどります。
雑巾やモップなどの掃除用品はもちろん、掃除用洗剤もあると思ったら途中でなくなった!なんてことがない
ように準備しておきましょう。
掃除する順番は、天井→壁→床というように、上から下へ、また、押入れ→戸棚→テレビの下など、奥まった
ところから手前に掃除していくのが基本。こうすれば、はじめに掃除したところを汚してしまうこともありません。
スッキリきれいな家で、新しい年を清々しく迎えましょう。
 門松は門の前に飾るものですが、昔は庭に松などの常緑樹を一本立てて、年神様の依代にしていたといわ
れています。玄関前や門前に左右に対で立てるようになったのは、江戸時代頃からで、玄関に向かって左側
に雄松、右側に雌松を用いました。
 門松を立てる日も選びます。29日に立てるのを「苦立て」、31日に立てるのを「一夜飾り」といって避ける風
習があります。一夜飾りを避ける理由は、直前に飾るのは誠意に欠け失礼にあたり、また、葬式の一夜飾り
に通じるので良くないからと考えられています。
なお、昔は日没が1日の終りで、新年行事の始まりを日没としていたので、大晦日には年神様が来訪するとも
考えられていました。こう考えると、門松を立てるのは、28日頃がよいと思われます。門松を飾っておく期間=
年神様がいらっしゃる期間となるので、これを「松の内」(一般的には1月7日まで)といい、年始の挨拶や年賀
状のやりとり、初詣をするのも松の内とされています。

冬至
 二十四節気のひとつで、北半球では太陽が1年で最も低い位置にきて、夜が一番長くなる日です。
夏至の日と比べると、北海道の根室で約6時間半、東京で約4時間40分もの差があるのです。
また、冬至は太陽の力が一番弱まった日であり、この日を境に再び力が甦ってくることから、太陽が生まれ変
わる日ととらえ、古くから世界各地で冬至の祝祭が盛大に行われていました。太陰太陽暦(いわゆる旧暦)では
冬至が暦を計算する上での起点となります。
 冬至の翌日から日が延びるため、中国や日本では、この日は陰の極みで、翌日から再び陽にかえると考えら
れてきました。それを「一陽来復」といい、この日を境に運が向くとされています。つまり、みんなが上昇運に転
じる日なのです
 冬至に食べるものとして親しまれているのが、冬至がゆとかぼちゃです。冬至がゆは小豆を入れたおかゆの
ことで、小豆の赤が太陽を意味する魔除けの色で、冬至に食べて厄祓いをします。かぼちゃは栄養豊富で長期
保存がきくことから、冬の栄養補給になり、冬至に食べると風邪や中風(脳血管疾患)にならないといわれてい
ます。
 冬至には「ん」のつくものを食べると「運」が呼びこめるといわれています。にんじん、だいこん、れんこん、うど
ん、ぎんなん、きんかん......など。「ん」のつくものを運盛り といって縁起をかついでいたのです。かぼちゃは、な
んきん! 運盛りは縁起かつぎだけでなく、栄養をつけて寒い冬を乗りきるための知恵でもあり、土用の丑の日
に「う」のつくものを食べて夏を乗りきるのに似ていますね。
また、「いろはにほへと」が「ん」で終わることから、「ん」には一陽来復の願いが込められているのです。
 一陽来復の運を呼びこむ前に、厄払いするための禊(みそぎ)として身を清めました。冬が旬の柚子は香りも
強く、強い香りのもとには邪気がおこらないという考えもありました。端午の節供の菖蒲湯も同じです。
また、柚子(ゆず)=「融通」がきく、冬至=「湯治」に通じて縁起もよいため、冬至には柚子となりました。
もちろん、柚子湯には血行を促進して冷え性を緩和したり、体を温めて風邪を予防したり、果皮に含まれるクエ
ン酸やビタミンCによる美肌効果があります。
さらに、芳香によるリラックス効果もありますから、元気に冬を越すためにも大いに役立ちます。

大晦日
 12月31日は大晦日。月末最後の日を晦日(つごもり)ともいうので「大つごもり」ともいいます。
元旦には「年神様」(としがみさま)という新年の神様が、1年の幸福をもたらすために各家庭にやってくるので、
年末最後の大晦日は、年神様を寝ないで待つ日とされていました。また、1日の境を日没の時としていた頃は、
大晦日の日暮れとともに新年になりました。
大晦日の夜、神社では境内で大祓えを行って罪やケガレを清め、寺院では除夜の鐘を鳴らします。
 年神様は初日の出とともにやってくるという説もあるため、大晦日の夜に寝ないで「年神様」を待つことを年
籠りといいます。うっかり寝てしまうと、「シワや白髪が増える」などという恐ろしい言い伝えもあります。どうして
も眠くなったら「寝る」ではなく「稲積む」(いねつむ)というと、魔力から逃れられるといいます。
 神社では、6月末日と12月末日に大祓の行事が行われます。 6月の大祓を「夏越しの祓」(なごしのはらえ
)、12月の大祓を「年越しの祓」といいます。それぞれ、半年分のケガレを落とす行事で、白紙で作った人形
(ひとがた)で身体の穢れを祓い、川や海へ流したり、かがり火を焚いたりして、健康と厄除けを祈願します。
 大晦日は、年神様を寝ずに待つ日とされていました。その前にお祓いをするために、寺院では深夜零時を
またいで108回鐘をつきます。怒りや嫉妬など人間にある108の煩悩を鐘の音で絶つためといわれています。
中国で宋の時代から始まったもので、十二か月と二十四節気と七十二候を合わせた数で108という説もあり
ます。一般的には、107回は旧年の内につき、残りの1回は新年につきます。

年越しそば
 細く長く長寿であるよう願い、大晦日に食べる蕎麦です。年越しそばを食べるのは、月末にそばを食べる「
みそかそば(晦日蕎麦/三十日蕎麦)」という風習が大晦日だけに残ったもので、江戸時代の町人の間で始
まったといわれています。

 また、年越しそばにはさまざまな呼び名と言い伝えがあります。

【寿命そば】そばのように長くのびる(長生きできる)。
【運気そば】鎌倉時代、博多の承天寺が町人にそばを振舞ったところ、翌年からみんなの運気が上がった。
【福そば】金銀細工師が散らかった金粉を集めるのにそば粉を練った団子を使うので、そばは金を集める縁
起物。
【縁切りそば】そばがよく切れるように、1年の労苦を忘れられる。

 そばに付き物のねぎは「ねぐ」といって「祈る」「労う」という意味もありますから、ぜひ入れてください。