11月の活動状況
令和2年(2020)

















◎酉の市

 東京浅草の鷲神社、大阪堺市の大鳥神社、そして酉の寺という別名も持つ長國寺など、主に鳥にちなんだ神社や寺

で開催される祭り「酉の市」。毎年11月の「酉の日」に行われます。

☆酉の市の由来

 酉の市の由来としては、諸説あります。中でも、「神道」「仏教」「収穫祭」の3つの説が有力視されています。

①神道説:目黒区の大鳥神社や、浅草の鷲神社(おおとりじんじゃ)が祀っている、「日本武尊(やまとたける

のみこと)」が11月の酉の日に亡くなったことが由来。

②仏教説:東京都台東区の長國寺(ちょうこくじ)にある、「鷲妙見大菩薩(わしみょうけんだいぼさつ)」のご開帳日に開

催される門前市が由来。

③収穫祭説:秋の収穫を祝うため、東京都足立区の大鷲神社(おおとりじんじゃ)の近隣住民がおこなっていた、「鷲大

明神(おおとりだいみょうじん)」に鶏を奉納する収穫祭が由来。

☆酉の市で有名な東京浅草の「鷲神社」。

 酉の市の発祥には諸説ありますがこの鷲神社の社伝によると、※天照大御神が天之岩戸にお隠れになり、天宇受売

命(あめのうずめのみこと)が岩戸の前で舞われた折、弦という楽器を司った神様がおられ、天手力男命(あめのたじか

らおのみこと)が天之岩戸をお開きになった時、その弦の先に鷲がとまったので、神様達は世を明るくする瑞象を現した

鳥だとお喜びになり、以後、この神様は鷲の一字を入れて鷲大明神、天日鷲命と称されるようになりました。天日鷲命

は諸国の土地を開き、開運、殖産、商売繁盛に御神徳の高い神様としてこの地にお祀りされました。とあり、ここが鷲神

社と呼ばれる由縁が分かるようになっています。

 酉の市の起源としては「日本武尊(ヤマトタケル)が東夷征討の際、社に立ち寄られ戦勝を祈願し、志を遂げての帰途

、社前の松に武具の「熊手」をかけて勝ち戦を祝い、お礼参りをされました。その日が11月の酉の日であったので、この

日を鷲神社例祭日と定めたのが酉の祭、「酉の市」です。この故事により日本武尊が併せ祭られ、御祭神の一柱となり

ました。」とあります。一方で仏教の説では、浅草にある鷲在山長國寺が「酉の市」発祥の寺として知られています。

 ※鎌倉時代日蓮大聖人が上総国鷲巣の小早川家に滞在していた折、国家平穏を祈っていたところ、にわかに明星(

金星)が動き出し不思議な力をもってして現れ出でたと伝わるのが鷲妙見大菩薩です。それは11月酉の日のことでした

。七曜の冠を戴き、宝剣をかざして鷲の背に立つ姿から「鷲大明神」とか「おとりさま」と呼ばれ、開運招福の守り本尊と

して親しまれています。と記されています。この鷲妙見大菩薩が長國寺に安置され、11月の酉の日に開帳されるように

なったのが「酉の市」の始まりと言われています。

☆地元の収穫祭から盛大なお祭りへ

 酉の市は江戸時代、足立区花畑にある大鷲神社近隣に住む農家の収穫祭が始まりであったとも言われています。

 境内では収穫物や農具、古着などが売られていました。

当時の参詣人は神社に鶏を献納し、祭りが終わるとその鶏を浅草観音堂前に放つのが慣わしとなっていました。

 この大鷲神社と千住の勝専寺、そして浅草の長國寺と鷲神社の酉の市がとても盛大だったそうです。

現在は鷲神社、新宿の花園神社、府中の大國魂神社が「関東三大酉の市」として知られています。

☆ちなみに酉の日とは…

 十二支と言えば酉年、戌年などといった「年」が有名ですが、「月」や「日」そして「時刻」などにも用いられてきました。

「酉の日」も「年」と同じように、12日ごとにめぐって来ます。その月の早い日程に酉の日が来れば3回、遅ければ2回あ

るということになります。昔は「酉の祭(とりのまち)」と呼ばれていましたが、祭りの会場に市が立つようになったことで、

いつしか「酉の市」と呼ばれるように。江戸時代に生きた人々の生活などが記されている「東都歳時記(とうとさいじき)」

には、1750~60年には既に酉の市が賑わっていたこと、それ以前からおこなわれていたことが記載されています。

由来や歴史にあるように、東京近郊で親しまれたイベントのようです。

☆熊手の持ち帰り方と飾り方

今後1年間の幸福を願い、熊手を天に向け高く掲げながら持ち帰ります。家に到着したら、玄関などの少し高いところに

飾るか、神棚に供えて新しい一年を迎えましょう。

☆熊手以外の縁起物について

 酉の市の縁起物で最も有名なのは熊手ですが、実はその他にも縁起が良い食べ物などが販売されています。こちら

では、酉の市で購入したい熊手以外の縁起物を紹介します

○頭の芋

 酉の市では、直径10cm程度の大きな芋が売られています。八頭(やつがしら)とも呼ばれる頭の芋(とうのいも)は

里芋の1種。「頭」と付く名前から「出世する」、1つの芋からいくつも発芽する姿から「子宝に恵まれる」ことを連想させ

る縁起物です。頭の芋を扱う屋台数は減少気味なので、見つけたときは購入してみてはいかがでしょうか。

○切山椒・黄金餅

 山椒の粉と砂糖、上新粉などで作られた餅菓子を、切山椒(きりざんしょ)と呼びます。日本で最も古い香辛料と言わ

れている山椒は「捨てる部分がなく、すべてを活用できる点が有益」とされたことで、縁起物の1つになりました。

 一方の黄金餅(こがねもち)は、別名を粟餅(あわもち)と言います。黄色の見た目が小判に似ているため、「財をなせ

るように」といった意味を込めた縁起物として扱われています。

○熊手守り(かっこめ)

 竹製の小さな熊手の先端に稲穂やお札などが付けたものが、熊手守りと呼ばれるものです。名前は似ていますが熊

手とは別物で、神社やお寺から授与されます。「福をかきこむ」といった意味から「かっこめ」と呼ばれるケースもあるよ

うです。自宅では、熊手とセットで飾ります。

☆浅草・鷲神社

 毎年、熊手店や露店を含めた800~900店舗ほど出店され、70~80万人もの参拝客が訪れる神社です。2020年

の開催時間は、午前0時から午後24時までの予定です。

☆新宿・花園神社

 前夜祭と本祭がおこなわれる点が、花園神社の特徴です。2020年は、11月1日(日)・11月13日(金)・11月25日(

)が前夜祭で、本祭は酉の日である11月2日(月)・14日(土)・26日(木)におこなわれる予定です。花園神社には、名

物でもある珍しい「見世物小屋」があります。料金を支払って中に入ると、昭和を感じられる舞台上で繰り広げられるさま

ざまな芸を見られます。

☆府中・大國魂神社

 東京都府中市にある大國魂(おおくにたま)神社は、かんざしをモチーフにしたお守りや、神符熊手を酉の市で頒布し

ています。拝殿の西側には大鷲(おおわし)神社もあります。

☆酉の市で知られる寺社

※大鷲神社(東京都足立区) ※江戸酉の市の発祥の神社。

※鷲神社(東京都台東区) ※関東三大酉の市のひとつで日本最大の酉の市、浅草酉の市が行われる。

※酉の寺・長國寺(東京都台東区)※浅草酉の市の発祥の寺。

※花園神社(東京都新宿区) ※合祀された大鳥神社の祭りであり、関東三大酉の市のひとつ。

※大國魂神社(東京都府中市) ※境内末社の大鷲神社の祭りであり、関東三大酉の市のひとつ。

※鷲宮神社(埼玉県久喜市) ※大酉祭の元祖とされ、小規模ながら熊手市も行われる。

※熊野神社(群馬県前橋市) ※前橋の四大まつりのひとつ、前橋大酉祭が行われる。

※金刀比羅大鷲神社(神奈川県横浜市) ※酉の市は横浜市の無形民俗文化財。

なお大鳥信仰の総本社とされる大鳥大社(大阪府堺市西区)では、11月酉の日に「酉の日祭」の祭礼はあるものの、

関東地方のような熊手市や夜の屋台は無い。