8月の活動状況
令和2年(2020)

















 風鈴は日本の伝統工芸品の1つであり、古くから受け継がれる伝統的な手法によって職人の手で1つづつ丁寧に作り
上げられる非常に奥深いものです。

風鈴の歴史

 それでは、風鈴はどのような歴史を持っているのでしょうか。風鈴の起源は日本ではなく、一説によると中国(インドと)
であるとされています。
 もとは竹林に吊り下げて置き、音の鳴り方によって物事の吉兆を占うための道具でした。これ
を「占風鐸・せんぷうたく」といいます。これが仏教と同時に日本に入って来て、寺院の屋根に吊るされる「風鐸・ふうたく」
となりました。風鐸にはいわゆる魔除けの意味があり、その音の聞こえる範囲に住む人々には災いが起こらないと信じ
られていました。この重厚感のある風鐸が、現在のような小ぶりの風鈴へと変化したのか、詳しいことはわかっていな
い(風鈴という言葉を初めて使ったのは、浄土宗の開祖・法然上人とされています。 また、平安・鎌倉時代の貴族は魔
除けのため、自宅に風鈴を吊るしていたという記録もあります。しかし江戸時代までには、夏に涼しさを感じるための道
具になりました。そして浮世絵に描かれたり、屋台に風鈴を吊るして蕎麦を売り歩く「風鈴蕎麦」が流行ったりと、庶民に
とっても身近な存在となっていったのです。


◎風鈴の効果

 さて、最近は洗練されたデザインの風鈴をよく見かけます。ですが、風鈴は単なるインテリアではありません。風鈴の魅
力は、何といっても音。そして風鈴の音には、意外な力があるのです。
☆癒し効果は
 どこかで「1/fゆらぎ・エフぶんのいちゆらぎ」という言葉を聞いたことはありませんか?音に関してだけいえば、「1/f
らぎ」とは規則正しい音と不規則な音が調和した音のこと。人間が「1/fゆらぎ」の音を聞くと、脳内にα波が誘発され、リ
ラックスできるといわれています。例えば川のせせらぎや、小鳥のさえずりなどがこれに当たります。そして風鈴の音にも
、この「/fゆらぎ」があるのだそうです。風鈴の音を聞くと、なんとなく心地よさを感じていた方も多いのではないでしょう
か。それはただの気のせいではなく、ちゃんとした理由があったのです。
☆実際に体温を下げる効果
 風鈴は、涼しげな日本の夏を演出してくれます。軒先に吊るされた風鈴が風に揺れ、音が鳴ると、心なしか涼しくなった
という経験はありませんか?。情緒がそう感じさせるのだろうと思いきや、実はそれも気のせいはなかったのです。なん
と風鈴の音を聞くと、本当に体の表面の温度が2~3℃下がることが立証されていす。これは、風鈴の音→風が吹いた→
涼しいと脳が勝手に判断し、「ということは、体温が下がるぞ」と末梢神経に命令を出すからだそうです。ただしこれは、日
本人に限ったこと。風鈴の音と涼しさが結びつかない人には、この現象は起こらないといわれています。


◎風鈴の種類

 それでは、風鈴にはどのような種類があるのでしょうか。実に様々な種類があるので、今回はいくつかピックアップして

ご紹介していきます。
☆江戸風鈴

  風鈴と聞くと、まずガラス製の風鈴を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。見た目から涼しげなガラス製の風
鈴は、風鈴の代表格となっています。一般的に知られるようになったのは江戸時代の末期のことで、後に「江戸風鈴」と
名付けられました。江戸風鈴は炉で熱せられた1320℃前後にガラスの塊に、管を使って息を吹き込んで成形する「宙
吹・ちゅうぶき」という技法によって作られています。ガラスが冷えたら開口部を刃物で切り落としますが、この時、切り口
はあえて「ギザギザ」にします。これは滑らかに仕上げると、音の出ない風鈴になってしまうからだそうです。
☆南部鉄風鈴(南部風鈴)
  江戸風鈴と並んで有名なのが、南部鉄風鈴(南部風鈴)です。南部鉄風鈴はその名の通り、岩手県の有名な工芸品
「南部鉄器」で出来ています。すなわち良質な砂鉄を含んだ、密度の高い鋳物から作られているということです。そのた
め「チリン、チリン」と軽やかに鳴る江戸風鈴とは違い、「チーン」と高く澄んだ音が響き渡るのが特徴です。
  【岩鋳】南部鉄器風鈴 釣鐘(つりがね)、岩手県の伝統工芸。
☆小田原風鈴
  江戸風鈴や南部鉄風鈴と比べると知名度は低いものの、ファンの多い小田原風鈴。室町時代から続く、神奈川県・小
田原の伝統工芸である小田原鋳物でできた風鈴です。銅と錫すずの合金である砂張さはり製の風鈴は、長く余韻が残
るのが特徴。かつてその音色に魅せられた黒澤明監督が、映画『赤ひげ』の重要なシーンに登場させたほどです。
  小田原風鈴~鈴虫風鈴【柏木美術鋳物研究所】ウィンドチャイム:ウインドチャイム:風鈴:風水:ヒーリング:ヨガ:玄関
☆明珍火箸風鈴
  変わり種としてご紹介したいのが、明珍火箸みょうちんひばし風鈴です。明珍火箸とは、兵庫県姫路市で制作されて
いる火箸のことです。火箸は、炭火などを挟むのに使う、金属製の箸です平安時代より続く甲冑師として名高い明珍家
が、鍛冶の技術力を活かして作るようになりました。そんな火箸を4本、糸で吊りさげて音が鳴るようにしたのが明珍火
箸風鈴です。高く澄んだ音色と深い余韻が特徴で、アメリカの超有名歌手・スティービー・ワンダーも「東洋の神秘」と絶

賛したほどです。また、明珍火箸は厄を「つまみとる」となどといった意味から、近畿地方には火箸を贈る習慣があり、
贈り物として人気です。
☆おわりに
 今回は日本の夏の風物詩・風鈴の基礎知識と魅力などについて、簡単にご紹介しました。風鈴といっても様々な種類
が存在し、日本人とは特別な関係にあることなどをご理解いただけたでしょうか。風鈴のないお宅もあるとは思いますが
、今度の夏にでも風鈴を吊るしてみてはいかがでしょう。昨今の暑い夏をともに乗り切るパートナーとして、素敵な風鈴と
の出会いを探しに行きませんか?。