3月の活動状況
令和2年(2020)

















すずめ

 日本各地に生息し、昔話や童謡、俳句などにも登場し、私たちの身近にいるすずめ。すずめは収穫期に稲を
荒らすことから、害鳥とみなされることもありますが、春から夏は稲につく有害な虫を食べてくれます。ちゅんち
ゅんと鳴きながら落ち着きなく飛び回る姿は愛らしくもあり、暖かな日差しをあびて無邪気に遊んでいるかのよ
うに見えます。

すずめの名前の由来

 すずめは古事記や日本書紀にも登場します。その頃から「雀」と漢字で書き、スズメ、スズミなどと呼ばれてい
たようです。名前の由来としては、鳴き声から転じて「スズメ」になったとする説と、小さいという意味の「スズ」と、
鳥を意味する「メ」がくっついて「スズメ」となったとする説などがあります。漢字の「雀」は「尾の短い小鳥」を表し
ているそうです。

昔話の中のすずめ

 すずめの昔話で有名なのは「舌切りすずめ」ではないでしょうか。おばあさんに舌を切られて追い出されたす
ずめを、おじいさんが「すずめ、すずめ、お宿はどこだ」と探しに行きます。絵本などに描かれているお宿は竹
藪の中ですが、実際にすずめは繁殖期が終わると巣を離れ、群れとなって竹藪や芦原などをねぐらにします。
その後の展開はご存知のとおり。
 また、「すずめとキツツキ」の話も設定やストーリーにいろいろなバリエーションがあるものの定番の昔話です
。昔、すずめとキツツキは姉妹で、ある日、離れて暮らす親が重病という知らせを受けました。すずめは地味な
普段着のまま大急ぎで駆け付けましたが、キツツキはきれいな着物の用意を優先し、死に目に会えませんでし
た。それを見た神様が、親孝行のすずめには米を食べることを許し、キツツキにはきれいな姿をしていても木
の中の虫しか食べられないようにしたというお話です。
 これらの昔話には、人としての教えと、すずめに対する温かいまなざしが感じられますね。小林一茶の「すず
めの子 そこのけそこのけ お馬が通る」という句にも、一茶の優しさが感じられます。「すずめの子」は春の季
語にもなっています。

縁起の良い「ふくらすずめ」

 冬のすずめを見ると、まん丸くふくらんでとてもかわいらしい姿をしています。全身の羽根毛に空気を入れて
ふくらませて、寒さをしのいでいるのです。このふくらんだ姿のすずめを「ふくらすずめ」と呼び、「福良雀」「福
来雀」と書いて縁起の良いものとされています。
このふくらんだすずめの形を正面にして、羽根を広げた形を図案化したものが、着物や帯の柄に使われてきま
した。幸福に恵まれることを願って、子どもの着物や成人式、結納などのときの着物に多いようです。また、「ふ
くらすずめ」という伝統的な帯結びにもなっていて、振り袖などの帯結びとして用いられています。ふっくらとした
丸みのあるお太鼓と左右に広がる羽根がかわいらしく豪華ですね。

「すずめ」がつく慣用句

「すずめ」が登場する慣用句もいろいろあります。
「竹にすずめ」:取り合わせの良いもののたとえ。
「すずめの涙」:ごくわずかなもののたとえ。
「すずめ百まで踊り忘れず」:人が幼いときに身に着けた習慣は、年をとっても直らない。
「すずめの千声鶴の一声」:つまらないものの千の声より、優れたもののひと言の方が勝っている。
「すずめの糠喜び」:喜んだのに当てがはずれること。すずめが籾を見つけて喜んだけれど、米はなくて糠ば
っかりだったのでがっかりしたという意味から。
「鷹の前のすずめ」:身がすくんでどうすることもできないことのたとえ。
 小さいものは軽んじられるのか、縁起が良いとされるすずめも「竹にすずめ」以外はあまりうれしくない内容の
ものが多いですね。

すずめはペットにはできません

 繁殖期にあたる春から秋に、すずめたちは巣を作って、産卵・子育てを始めます。ツバメのように人の近くに
巣を作ることが多いので、すずめの子育てを見る機会もあるかもしれません。時々、巣から落ちたのか落とされ
たのか、すずめの子が地面に落ちていることがあります。けがをしていることもあるかもしれません。かわいいし
、かわいそうだしとつい手を差し伸べたくなりますが、現行法では連れて帰って飼ってはいけないことになってい
ます。
 野鳥の卵の採取や雛の捕獲は禁止されていますので、すずめの子もその対象です。保護した場合は、都道
府県の鳥獣保護担当係へ相談してください。